ジャニーズWESTに、救われた話。




音楽は、娯楽であり時に自分を鼓舞するツールであった。

自分にとっては音楽を聞くことで通勤時の不快感を少しだけ

緩和することもできたし、

学生時代は試合前に、試験前に

社会人になれば大切な会議やプレゼン前に

自分を鼓舞するためによく聞いていた。

ここぞというときに、頑張りたいときに、

何度も音楽に背中を押してもらってきた。

今まで自分にとっては、着火剤のような役割であったのだ。


だから、初めての経験だった。

失敗して落ち込んだり、自分自身に情けなさを感じたときに

次からまた頑張っていこう

前を向けるように背中を押すのではなく

そんなあなたも頑張っている

今の自分自身を肯定してくれたことに。

そして、そんな言葉を自分が欲していたことに気づいた。


そんな音楽を、ジャニーズWESTは教えてくれた。

そして、そんな彼らに救われた。



おそらく音楽番組だったであろう。

何気なく付けていた番組で、ジャニーズWESTが歌っていた。

いや、多分その時は何か作業しながらであったから

ジャニーズWESTが歌っていたのは知らなかったと思う。

ただ、歌詞に衝撃を受け、手を止め画面を見つめたのは覚えている。

そして、気づけば、泣いていた。


それが、まず「証拠」との出会いだった。


あの頃、

突如現れた新型ウイルスになす術もなく、終わりの見えない不安に

かなり疲弊していた。

医療関係に従事していたこともあり、今まで以上に神経質になっていたし

毎日家と職場の行き来、目に見えないウイルスにもし感染していたら、

何より自分が誰かにうつしてしまったらと、恐怖もあった。

日常が非日常となり、非日常が日常化したことに、

体も心も対応することに一杯一杯で

きっと予測出来ない事態に思っていたよりも心が疲弊していたのかもしれない。

しかし、自分が根を上げてしまうなんて

もっと辛い人だっているし、みんなだって頑張っているんだから

泣き言なんて言ってられない。

頑張らないと、

もっともっと

頑張って、がんばって、頑張っていかないと、、、

でも、何に?

分からないまま、でも立ち止まってしまったら前に進めないと

思っていたからずっと前を向き続けようとした。


そんな中、ずっと疲れたと心は叫んでいたのだろう。


心を亡くすと書いて、忙しいというように

忙しくなればなるほど自分は、心の健康を疎かにしてしまっていた。

心の疲弊は、なかなか目に見えない。

いや、目に見えないからこそ気付こうとせず

無理に目標を掲げて、みんなも頑張っているんだからを合言葉に

抑揚のない日々を繰り返していた。



そんな時に、聞いた彼らの音楽。

こんなにも 笑って いや 泣いて

忙しなく叫ぶ キミの心は

頑張っている証拠だよ


証拠の冒頭の歌詞。


あの時の衝撃は、なかなか言葉にする事は難しい。

体全体が震えたような気がする。

ずっと力んでいたものがふっと軽くなったような気がする。

そうして、力が抜けたからか、無意識にせきとめていたらしい

涙が溢れたのかも知れない。

そこで、ようやく人の心が戻ってきたような気がした。


自分はずっと頑張れではなく、頑張っていると誰かに

認めてほしかったんだと、気付いた。


「消えちまえ」

「置いてきぼり」

「もう分からない」

「ひとりきり」


応援歌だというのに、後ろ向きの言葉が散りばめられている。

でも、そんな弱音とも言える言葉がより自分と重なり

歌が身近に感じた。

そして、そんな言葉に対して

そういう時もあるよね、言いたくなるよねと言ったように

否定的な言葉さえも肯定してくれた。

素直に嬉しかった。


なおかつ


「さらけ出せばいい」

「完璧じゃ疲れちゃうよ」

「らしく行こうぜ」

「上手く生きるのがすべてじゃないから」


弱音を吐くことが悪ではなく、それもあなた自身の感情の一部であり

大切なことだと言われている気さえした。

弱音を吐くことも悪い事ではない。

理想を掲げることも悪い事ではない。

等身大の自分でいることも悪いことではない。

後ろを向いたっていい。

前を向いたっていい。

立ち止まっていたっていい。

こんなにも全てに肯定してくれる音楽を今まで聞いてこなかった。

スーパー自己肯定感爆上がりソングだ。


今まで背中を押して貰えるような

腰が重い時、グッと引っ張り上げて貰えるような

頑張れと力強くいってくれるような

音楽こそが応援歌だと思っていた。

しかし、それだけが応援の仕方ではないと気付かされ、

時に頑張れという言葉が重荷になることも知った。


まっ、それもいいんじゃない。と

十分頑張っているよと、現状を認め寄り添う形も

また一つの応援の形なんだと知った。



「手探りで今を生きているあなたへ」


自分のようにこの曲と出会い、助けられた人たちがたくさんいるように

どうかそんな音楽を届けているジャニーズWESTにも幸あれと

願うばかりである。


これが、ジャニーズWESTに救われたお話。